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函館市公民館の耐震診断結果

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1月28日に開催された函館市公民館整備改修に関する懇話会で配布された資料を傍聴者の方から提供頂きました。

耐震診断は本館棟(鉄筋コンクリート造)・事務所棟(煉瓦造)・石館ホール棟(木造)の3棟に対し行なわれています。この記事では鉄筋コンクリート造りの本館棟について書きたいと思います。

配布された資料によれば、
・構造耐震指標Is値は判定指標値を満足
・講堂の鉄骨小屋組の剛性が不足しているため補強が必要
 建物が一体として地震に抵抗するための補強、外観・内観ともに変化なし
・コンクリートの中性化が進行しているため再アルカリ化が必要
 仕上げ材等を撤去して中性化したコンクリート面を露出させ、アルカリ付与材により再アルカリ化した上で仕上材の復旧

これらの内容に基づくと鉄筋コンクリート造りの本館は現状でも十分な耐震性能を満たしており、基本的に耐震補強の必要は無い様です。但し、講堂天井を支えている屋根裏の鉄骨の補強と、中性化したコンクリートの再アルカリ化の作業が必要ではあるものの、建物自体はほとんど現状のままで施設や設備の現代の水準にするノベーションにより現代レベルの施設として再生される事になるようです。

これは弥生小学校再活用について「弥生小学校を考える会」が提出した要望書の中で提案されていたリノベーション再生案と同等の内容が函館市公民館において実現されるのではないでしょうか。

公民館のリノベーションによる再生・再活用がほぼ確定的な状況は非常に喜ばしい事ですが、決して手放しでは喜べないとも感じています。公民館については、かねてより公民館の保存活用を求める市民団体の活動が今回のリノベーションによる再生を後押ししていた影響が大きいのではないかとも思います。
つまりあらかじめストーリーを決めてしまってから、シナリオ通りに物事を進める行政の体質は以前と何も変わっていないのではないかと思います。

旧図書館の様に表立った保存活動も無く、活用予定も決まっていない建物については弥生小学校のような手法が使われるのではないかと考えます。むしろ今回、公民館がリノベーション再生される事により「何でも解体する訳では無く、残せるものは残し残せないものはレプリカに置き換えて継続する」と対外的にアピールし正当化する材料に利用されるのでは無いかと危惧します。そういえば旧図書館の耐震診断を落札したのは弥生小学校の耐震診断を行なったのと同じ業者でした。床材変更の話といいなんだか弥生小と同じシナリオを感じます。

弥生小学校を設計した小南武一が手がけた函館市公民館が現状でも十分な耐震性能を満たしているという結果が出た事にやはり弥生小学校の耐震診断結果には疑問を持たずにはいられません。
同じく耐震診断が行なわれた小南武一による設計の青柳小学校にはどんな結果が出るのでしょうか?
そういえばこちらの診断は小南建築設計事務所が落札していました。果たして創設者である小南武一の作品に対してどんなシナリオが描かれるのでしょう。





函館市公民館整備改修に関する懇話会で配布された資料を掲載いたします。
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by lennon-9 | 2010-02-07 08:10 | 函館市政