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使い捨て思想の函館市教育委員会

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8月20日に行われた「西小学校・弥生小学校統合校舎整備の考え方」市民説明会において新築+正面玄関部分の外壁のみ保存する案で基本設計を進める意思を示した函館市教育委員会だが、彼らの思想は「使い捨て思想」だ。

彼らが示した西小学校・弥生小学校統合校舎整備検討案によると耐震補強や免震構造を取り入れ補修する案に比べると新築では工事費が約半分で済むと記されている。そして新築の場合の耐用年数は約65年。
従来の部分を残せばその部分は30年程で再調査をして存続の検討が必要とある。
そして保存の声も考慮したと言い訳するために、完全新築より2千万程余計にお金がかかるが現校舎の外壁の一部だけ残す妥協案を示したのだろう。

新築のメリットを最大限にアピールしつつ、残した場合のメリットは「現校舎は残る。」この一言だけだ。
このコメントに彼らの思想が如実に表れている。そこには景観や文化、歴史への配慮、そして函館に対する愛情など微塵も感じられない。彼らは今の職を辞するべきだ。

彼らは現校舎を残すならこんなに莫大な費用がかかりますよ。耐用年数も低いですよ。
残してどうするんです?こんな風に問いかけているように感じる。そして65年経ったらまた建て替えればいいと思っているのだろう。

コストパフォーマンスを重視する事により新しい物のメリットをアピールする手法は販売方法としては定番であり、日常使用する消耗品的度合いの高いものであれば妥当な理論ではあろう。だが、この問題はこの手法で結論を出すべき問題では無い。

また例え話をさせて下さい。
Aさんが日常の足として使用している自動車があります。
10年近く乗っていて来年に車検がありますが出来ればもう1回車検を上げて乗りたいと思っています。
ところが車が故障して自動車販売店で見てもらったら、他にも悪い所が見つかったとの事で約30万円程の見積りが出ました。
セールスマンは言いました。タイヤもだいぶ減っていてあと1年位で交換しなければならないですね。車検も近いので、新車はどうですか?今月は売り上げが厳しいので今月中に決めてくれれば特別価格で提供致します。付属品もサービスさせていただきますよ。新車は燃費もかなり良くなっていますし、安全性も高くなっています。この機会にぜひいかがでしょう?

どうですか?おそらくAさんは新車を買う気持ちに傾いた事でしょう。セールスマンは修理の見積もりを最大限の金額で提示したと思われます。これもセールスのテクニックです。

これは日常の足として使う車の場合だから妥当と思われますが、これがビンテージやアンティークと呼ばれるものだったらどうでしょう?思想や結論が当然変わってくるでしょう。

今回の弥生小学校の問題は対費用効果重視で考えるべき問題では無いと断言できます。
とは言っても、私もいくらお金が掛かっても保存すべきだと言っているのではありません。

これには再三取り上げています「耐震診断報告書の問題」が大きく関わってきます。
函館市教育委員会が示した耐震補強や免震構造を取り入れ改修する案では約21億円もの金額がかかるとしています。先ほどの例えを思い出して下さい。新築を進めたいと考えているのなら補強工事の見積書は最大限の金額で作成するであろう事は想像に難くないと思います。

私が耐震診断書の信憑性にこだわるのは、正しい補修コストを知りたい気持ちからです。
H17年に実施された耐震診断ではコンクリート強度検査のサンプルが1フロア1個づつ、計3個しか採取されていませんでした。前回の説明会で日本建築学会の建築士の方が弥生小学校の建てられた時代の工法であれば「少なくとも1フロア9本は採らなきゃいけない」と発言されていました。

私はH17年の耐震調査自体の信憑性が疑わしいと考えています。
実際、先の説明会で教育長はH17年の耐震調査では不十分だったので、H18年・H19年に追加で調査したという内容の発言をしました。つまり教育長はH17年の耐震調査は不備があったと認めた訳です。
そして生涯学習部施設課長の「最低限」のサンプルは揃っていて問題ないとする旨の発言。

弥生小学校のような時代の建築物の耐震設計のノウハウを持たないで調査したとしか思えないようなH17年の耐震診断報告書。土台が悪い上に何を積み上げても決して良いものにならない様に、不備のある「土台の悪い耐震診断報告書」に「最低限のコンクリート強度検査結果」を積み上げても正しいものになる訳など無いのです。

その様な場合、確信がもてず耐震補強の見積もりをするなら、リスクを考えて最大限の金額で見積もりをする事が考えられるでしょう。H17年の報告書では約19億円の金額が記されていましたが、当時の最大限金額の提示だったのでしょうね。今は資材価格が値上がりしている事を考えると辻褄が合いそうです。

つまり、「正しい耐震診断」が出来れば推測や最大限ではなく、正確な補強案に基づく「正確な金額」の算出が可能になります。「正しい診断」が出来れば、補修の方が安く上がるかも知れないし、新築よりも若干コストは掛かってもやりくりできる範囲内の金額で収まるかもしれない。
少なくとも推測の金額で函館の貴重な財産の去就を判断すべきでは無いでしょう。

以上の理由により、知識豊富な信頼のおける建築士による耐震診断のやり直しを断固求めます。
by lennon-9 | 2008-08-23 07:00 | 函館市政